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声がかれた状態は嗄声(させい)と呼ばれます。その中でもとくに小児期にみられる嗄声は「小児嗄声」または「学童期嗄声」と総称されます。小児嗄声とは、日本耳鼻咽喉(いんこう)科学会学校保健委員会では 「幼稚園から小学校低学年にかけて多発するもので、無理な発声が習慣となり、声帯に炎症を生じて嗄声を来し、慢性の経過をたどるもの」とされています。
小児嗄声と呼ぶからと言って、小児のみに特有ののどの病気があるわけではありません。大人にもできる声帯の病気で、小児に起きやすいものを総称してそう呼んでいます。 例えば原因となる疾患として、「声帯結節」が最も多くみられます。声帯結節とは、声の多用や乱用により、声帯への刺激が持続し、 声帯の中央部が腫れる、あるいは部分的に厚くなった状態で、声帯の使い過ぎでできた「ペンだこ」のようなものと考えていただければわかりやすいかもしれません。
大きな声を出す男児に多い病気で、年齢的には7~9歳にピークがあります。 声の出し過ぎで夏休みのような長期休暇に入ると改善して、新学期に入るとまた悪化するという子がよくいるのは、子供のいるご家庭ではご理解いただけるのではないでしょうか。
その他にもかぜ気味だったり、のどが痛かったりするときは声帯に炎症(赤く腫れること)を起こす「声帯炎」になっていたりします。 また、頻度は低いものの、声の質や状態によっては大人と同様に声帯やその周辺に「腫瘍(しゅよう)」ができていたり、「声帯を動かす神経の麻痺(まひ)」 により嗄声が起こっていることもあります。これらの疾患の場合には、内視鏡検査で診察の上、早急な検査診察が必要になることもあります。
治療ですが、小児声帯結節は声変わりの時期になると自然に治ることが知られています。 そのため原則的に手術などの外科的治療よりも保存的治療を優先させます。
まず最初に、声の衛生を守るために声の使い方に注意をして声帯に負担をかけない発声をさせるようにします。 具体的には「大声を出さない、叫ばない、力んで声を出さない、連続して長時間しゃべらない、奇声を発しない、運動しながら声を出さない」などです。 訓練によって、正しい発声ができるようにすることも大切です。 また、耳鼻咽喉科ではのどの炎症を抑える「ネブライザー治療」を行うことができるので、定期的に薬の入った蒸気を吸入することで症状の改善を早めることが期待できます。
一方、ごくまれではありますが「高度な嗄声で学校の音楽教育に対応できない、本の朗読にも支障が出ている、友達とのコミュニケーションにも不便がある」などの場合には、 全身麻酔下で手術を行って結節を切除することもあります。患者本人の引け目やトラウマにならないよう、子どもや親御さんの立場に寄り添い、治療方針を決めたり、 総合病院での精査をお勧めしています。