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顔面神経麻痺は、急に顔の半分が動かなくなり、顔がゆがんだり、目や口が閉じられなくなったりする病気です。 ある日突然お顔がゆがんだり、食事中や歯磨き中に唾液が漏れてしまったりして気づくことがあります。
急にお顔が動きづらくなると、脳梗塞などの「頭の中の病気」を心配されるかと思いますが、耳鼻咽喉科領域の顔面神経麻痺も実は多く、 耳鼻咽喉科が治療を担当するマヒが原因として最も多いとされています。 なぜかといいますと、顔面神経は側頭骨(耳がついている頭の骨)の中を走行しています。その顔面神経は耳と近接して走行しているために、 耳内にある中耳や内耳の病気が原因となって顔面神経麻痺が起こることがしばしばあるためです。
原因別の顔面神経麻痺
①耳鼻咽喉科のマヒ(ベル麻痺、ハント症候群 70%程度)
②外傷性のマヒ(交通事故や高所転落など 5%程度)
③手術術後性(もともと想定されている術後症状も含む 5%程度)
④腫瘍性(脳腫瘍、耳下腺腫瘍など 5%程度)
⑤中枢性(脳梗塞など 1%未満)
⑥その他
上記のような報告があり、これらの原因のなかで、耳鼻科診療で特に多くみられるものはベル麻痺とハント症候群であり、全体の約70%を占めています。 ベル麻痺は、明らかな原因が同定できない急性の顔面麻痺を総称した疾患で、最も多くみられます。特発性顔面神経麻痺ともいわれますが、 過去には循環障害や自己免疫などいくつかの原因が指摘されてきました。現在ではウイルスの関与、特に再活性化した単純ヘルペス1型ウイルスが その主たる原因であると考えられています。
ハント症候群は、耳の奥での水痘帯状疱疹ウイルス(帯状疱疹の原因)の再活性化を原因とする顔面神経麻痺です。ハント症候群では、麻痺に伴って、 耳の穴や耳介周囲に帯状疱疹による水ぶくれができたり、強い耳の痛み、耳鳴、難聴、めまいなどが起こったりするのが特徴です。 個々の症例では、これらの症状のいくつかが組み合わさって出現します。
ベル麻痺と年齢の関係にでは、50歳代に最も多いと報告されています。また、妊娠、特に妊娠後期の女性においてベル麻痺が生じやすいとの指摘もあります。
一方、ハント症候群では、人口10万人当たりの年間の発症数は2~3人といわれています。20歳代と50歳代に発症頻度が高いとの指摘があります。 50歳代以上に関しては、帯状疱疹ワクチンの効果が切れる40代以上に発症しやすいのではと考えられています。 さらに、小児では男児より女児において発症頻度が高いといわれています。
季節と発症数の検討では、ベル麻痺は1年中ほぼ一定ですが、ハント症候群では5月と8月が少なく、冬から春にかけての3月と4月、 および6月と7月に発症例が増加すると報告されています。
顔面神経麻痺の治療は、まず第一には薬物療法が選択されます。治療薬としては、副腎皮質ステロイドホルモン、血流改善剤、 ビタミン剤や神経賦活剤などが主として用いられます。 顔面神経麻痺の治療には、急性期(発症から2週間以内)の治療が重要と考えられていますので、麻痺の症状が強い場合には、ステロイドの点滴治療を目的に、 初めから総合病院への紹介を検討する場合もあります。
これらの治療で改善をみない例は、顔面神経管開放術などの手術的治療の対象となることもあります。その必要性に関しては、総合病院での精査の上で、担当の先生が判断することになります。 症状に合わせて様々な対応がありますので、まずは当院にてご相談ください。